James Booker

The Lost Paramount Tapes


DJM-CD 10010
rec. Hollywood, CA, 1973


  1. Goodnight Irene
  2. Feel So Bad
  3. Junco Partner
  4. African Gumbo
  5. Lah Tee Tah
  6. So Swell When You're Well
 7-8. Stormy Monday/Hound Dog Medley
  9. Hole in the Wall
 10. Tico Tico
 11. Junco Partner #2


 このアルバムは、1973年にハリウッドの Paramount Recording Studio で録音された。しかし、リリースされたのはそれから遥か22年、ジェームス・ブッカーの死からは12年経ってのことである。録音後まもなくテープが行方不明になったため(これがアルバムタイトルの由来である。)、このアルバムを作る計画は立ち消えとなった。ところが、1992年になってそのテープの一部が発見され、1995年にようやくアルバムとして日の目を見ることになったのである。

 ニュー・オリンズ・ミュージシャンズならではのファンキーなセッションで、ブッカーのスピネット・ピアノが飛び跳ねる。
Dr. John は、このアルバムを理想のバンド・サウンドとして、彼のバンド・メンバーに聴かせたという。ずいぶんと時間の経過はあったにせよ、この貴重な録音を聴くことができるのは、間違いなく喜ぶべきことである。しかし、それと同時に、決して成功したとは言えないブッカーのピアニストとしてのキャリアを思い、心が痛む。ブッカーの生前にリリースされたアルバムは、"Junco Partner", "New Orleans Piano Wizard: Live!", "Classified", そしてヨーロッパでリリースされ、おそらく現在では廃盤となった数枚のライブアルバムのみである。

 ようやく正当に評価され始め、数々のアルバムがリリースされた今、ジェームス・ブッカーはもうこの世にはいない。ブッカーの音楽は現在も、多くのミュージシャンに影響を与え、音楽を愛する人達の心に潤いを与え続けている。そして、レコード会社と、ブッカーの全ての音楽の使用権を買い取った大富豪は、ブッカーが有名になるにつれて、甘い汁を吸うだろう。身を削るようにしてピアノを弾いたブッカー当人が得るものは、死後のささやかな名声だけだ。




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