このアルバムは、ジェームス・ブッカーの初期の作品 - 1954年から1962年にかけてリリースされたシングル - を集めたものである。ジャケットの写真は1956年に撮影されたもので、まだ両目のある幼い顔立ちをしている。
ファースト・シングルの "Doing the Hambone" を録音した時、ブッカーはわずか14歳であった。この時期の曲は声も若くて、ピアノもまだブッカーのオリジナルなスタイルではない。ぐっとブッカーらしくなってくるのは、オルガンを用いた1958年あたりからである。だんだんと 「ブッカー節」 が聴こえるようになってきて、その成長ぶりがおもしろい。
"Doing the Hambone" について、Earl King が語ったエピソードがある。なんともブッカーらしい話なので、ここで引用したい。
「ブッカーは素晴らしいレコードを作ったんだ。"Hambone, hambone, where you been"ってやつさ。彼は12歳かそこらで、テレビにも出演した。ある時、Charles Neville がそのレコードを見つけて、それをブッカーに聴かせた。ブッカーは、
『ねぇ、ちょっとそのレコード見せてよ』
と言って、そして、、、、それをぽきんと割って、ゴミ箱に捨てちまったのさ。
『なんでそんなことするんだよ』
とチャールズ。
『誰にもそれを聞かれたくないんだ』
とブッカー。
それで、チャールズはこう言った。
『なんで割っちゃたのかわかんないよ、ブッカー。だって、僕はそれをテープに持ってるんだ』」
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