Patchwork: A Tribute to James Booker


STR Digital Records STR-1014


  1. All Around the World (Performed by Leigh Harris and Larry Sieberth)
  2. Dr. James (Performed by Henry Butler)
  3. Papa Was a Rascal (Performed by Josh Paxton)
  4. If You're Lonely (Performed by Marcia Ball)
  5. Keep on Gwine (Performed by Tom MacDermott)
  6. Please Send Me Someone to Love (Performed by Harris and Sieberth)
  7. Angel Eyes (Performed by Sanfoed Hiderlie)
  8. On the Sunny Side of the Street (Performed by Josh Paxton)
  9. Classified (Performed by Marcia Ball)
  10. Pop's Dilemma (Performed by Tom MacDermott)
  11. Minuet in Funk (Performed by Josh Paxton)
  12. All By Myself (Performed by Marcia Ball)
  13. Booker Time (Performed by Henry Butler)
  14. One for Booker (Performed by Tom MacDermott)
  15. Miss Celie's Mood (Performed by Joe Krown)
  16. Providence Provides (Performed by Harris and Sieberth)

 納得の行かないのは、ヘンリー・バトラーである。
 私は、この "Patchwork: A Tribute to James Booker" をライブで体験したので、どうしてもCDとライブを比べてしまうことになるのだが、ヘンリー・バトラーのライブ演奏は、CDとは比べ物にならないほど素晴らしかった。他の出演者の録音は、それぞれのライブ演奏を私に思い出させるのだが、ヘンリー・バトラーの録音は、ライブとは似ても似つかない。左手のど迫力は感じられないし、右手の音もいまいち冴えない。もちろん、この録音のように弾けるだけでも素晴らしいのだけれど (私にはとても弾けない。)、ライブを観た者としては、つい高望みをしてしまうのである。

 コンサートで使われたのは、かなり大きなグランドピアノで、会場も音響の良いホールであった。しかし、CDとライブがこれほど違う根本的な原因は、そんなことではないような気がする。ヘンリー・バトラーは、こう語っている。

 「ジャズやブルースの演奏は、言葉にできない大切なものを、僕に表現させてくれるんだ。僕は、全身を楽器として使う。そして、そこにいるオーディエンスのひとりひとりのバイブ (vibe) に、演奏で返答するんだ」

 これは、まさしく、彼のライブを観て私が感じたことそのものである。あの夜、確かに、ヘンリーは会場全体を呑みこんで演奏していた。彼の演奏は、「聴き手」 あってこそのものなのである。

 ヘンリー・バトラーの弾いた曲は、ブッカーのリフを多用したオリジナルである。他の出演者は、ブッカーの曲 (或いは、ブッカーのレパートリー) を弾いたが、不思議なことに、ブッカーのスピリットを一番感じたのはヘンリーの演奏であった。彼のように自分の個性を主張してこそ、「ものまね大会」 にならずに、ブッカーのスピリットを伝えることができるのだ。



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