Public Transport in New Orleans

ニューオリンズの交通機関

 アメリカのドライバーは運転のマナーが良い、と聞いてはいたが、予想以上であった。滞在中、イギリスだったら殺されている、という場面に何度も遭遇した。フレンチ・クォーター内の小さな通りでは、信号がなくても横断歩道がなくても、歩行者がいたら、車は必ず止まる。歩行者優先である。当たり前のように聞こえるかもしれないが、そんな当たり前のことが、イギリスでは当たり前ではないのである。街によって差があるが、私の住むブリストルはかなりひどい。歩行者がいても止まらない、クラクションで威嚇するなど、ドライバーは皆、野蛮である。ニューオリンズでは、車同士でクラクションを鳴らし合っているのは何度も見かけたが、歩行者に対しては、少なくとも私は一度も見なかった。イギリスではアンチ・カーを唱えている私であるが、ニューオリンズに住んだら、車に対する考えが少し変わりそうである。

 さて、車を持たない私が使ったのは、バス、ストリート・カー、フェリー。こうした公共の交通機関も充実しているが、治安のことを考えて、夜はやはりタクシーのお世話になった。私の気に入ったのは、ストリート・カー (St Charles streetcar) である。便利で、かわいくて、眺めも良い。新しく観光客用にできたストリート・カーがリバーフロントを走っているが、こちらは端から端まで乗っても2マイル以下、と短い。やはりお勧めは、歴史ある St Charles streetcar である。

 ミシシッピ川では遊覧船を楽しむこともできるが、私が乗ったのは、フェリーである。何しろ、無料なのだ。ただしこれは観光用ではないので、ミシシッピの向こう岸まで行って帰って来るだけ。観光客もいるが、半分ほどがロコである。私は景色を見たくてデッキに残ったのだが、見渡すとデッキの上はみんな白人。黒人はみんなキャビンの中である。まるで境界線でもあるかのように、はっきりしている。それともあれは観光客とロコ、という境界線だったのだろうか。所詮、観光客である私にはわかるはずもないが、それでもニューオリンズでは、「明らかにラインが存在する」 と感じることが少なからずあり、そういう状況に出くわすたびに、私はショックを受けた。黒人と白人がひとつのステージの上で素晴らしい音楽を奏でているのも事実であるが、もうひとつの事実も、私が想像するより遥かに、強く、根深く存在するようである。




in a streetcar



on a ferry






<< 前の旅行記へ



ニューオリンズ旅行記
メニューに戻る
次の旅行記へ >>