Checkpoint Charlie

チェックポイント・チャーリー

 何日も滞在していると、フレンチ・クォーター内で夜を過ごすのは、きついと感じることがある。きついというのは、退屈ということである。酔っぱらって騒ぐのに興味がない私は、バーボン・ストリート以外をうろつくわけだが、いくらクォーター内といっても、中心から外れるに従って、人通りが少なくなる。日中と違って、夜はやはり行動範囲が限られてしまうのだ。そこで、アップ・タウンへ音楽を聴きに行かない夜をどう過ごすか、というのが問題になってくるわけだが、私はそんな夜は、フレンチメン・ストリート近辺で過ごした。

 フレンチ・クォーターの終わりから、Decatur Street をもう少し先へ進むと、Frenchmen Street へぶつかる。レストランやバーが軒を連ねているが、観光地のど真ん中からは少し外れているので、なかなか面白い雰囲気の通りである。

 さて、ある晩、フレンチメン・ストリートへ向かう途中に通った Esplanade Avenue で見つけたのが Checkpoint Charlie である。聴こえてくるブルースにつられてバーへ入ると、どうやら観光客は私達だけらしい。ちょっと驚いて振り返る人々。バーの中には、プール・バーとゲーム・センターと、なんとコインランドリーまである。正真正銘のロコ・バーである。ステージではお姉さんがベースを弾きながら歌っていたのだが、バーへ入って来た女性へ向かって、
 「ハーイ!彼女、私の隣に住んでるのよ!」
 と、マイク越しに挨拶するほどのロコぶり。山盛りのフライド・ポテトとオニオン・リングをつまみに、お姉さんの歌うブルースを聴く。店内にはビリヤードやゲームに熱中する人、洗濯物を抱えてうろうろする人。普通のニューオリンズ人である。観光名所めぐりももちろん良いが、旅に出て私が面白いと感じるのは、ロコの生活を垣間見る、こういう瞬間である。




Checkpoint Charlie






<< 前の旅行記へ



ニューオリンズ旅行記
メニューに戻る
次の旅行記へ >>