published by
St. Martin's Griffin
Dr. John は、音楽の評論家でも、歴史家でもない。彼が生粋のミュージシャンであるところが、この本の魅力であり、おもしろさであろう。 実際に見て、聞いて、感じた (そして演奏した!) 彼が語ればこそ、その頃のニューオリンズ・ミュージック界が、鮮やかに蘇る。 登場するミュージシャン達も、Dr. John が実際に係わった人達ばかり。ジェームス・ブッカーの名は何度も挙げられるが、彼について集中して書かれた数ページがある。私はこの部分が - 特にブッカーの死について書かれた終わりの部分が - とても好きで、どれだけ読み返したかわからない。何度読んでも、文章のリズムや言葉の選び方が美しい (この辺りは、共著者であるジャック・ルメルの力も大きいのだろうけれど)。しかし、この文章が心にぐっとくるのは、何より、Dr. John のブッカーへの思いのためであろう。時に、ブッカーが彼をとことんうんざりさせても、Dr. John は、このどうしようもない天才を愛していたのだと思う。 日本語訳も出版されているようです。(『フードゥー・ムーンの下で』 森田 義信訳 ブルース・インターアクションズ) |
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